脳梗塞からの復帰

脳痙攣で再入院

11月上旬、父がまた倒れる。右足の方がなんか痛いと数日前から訴えていた。朝9時、ベッドに仰向けに倒れていて、目だけはパッチリと開いていた。救急車を呼んで病院へ搬送。

父は朝7時に朝食を食べ、それから母は2階で一眠りして 、9時になって一階に降りた時に父が意識不明に陥っているのに気づいたのだったが、僕はちょうど8時半から9時の間に、一階で父が物凄く大きなクシャミをしたのを耳にしていて、 ひょっとしてそのクシャミのせいで、脳梗塞だった部分の脳に痙攣が起こったのではないかと話したら、母はケラケラと笑っていた。

医師が説明するというので腰掛けると、「痙攣やね」と開口一番言われ、傍らのレントゲンを見つつ説明を受けたが、なるほど確かに医師の言うとおり、脳の右側に以前脳梗塞になった時に出来た黒い影が見えるが、それ以外に新しい梗塞の跡はなく、ホッと胸を撫で下ろした。

1週間くらい様子を見て、その後は退院するかどうかを決めるということで、ホテルのフロントのように丁寧な看護婦に父の寝ているベッドに案内されると、苦しそうに呻くので看護婦がどこが痛いのか問いかけたがサッパリ分からず、ベッドの傍らに母が「オシッコ?」と聞くと、そうや、という感じで首を縦に振り、看護婦の顔がパッと明るくなって尿瓶で尿を採り、命に別状はないと分かるように病状を軽く説明して、10分ほどで病院を出た。


三日目にまた見舞いに行ったら、右目がボクシングで殴られたみたいに垂れ下がって弱々しかった表情も、家族と話している内に倒れる前の生き生きとした顔に戻ってきた。

はじめ話した時は喋るスピードが倒れる前の半分くらいの速さになっていてスローモーションみたいでビックリしたが、使える言葉が若干増えているのにもビックリした。明らかに喋れる言葉が増えているのが分かる。

神様の贈り物だろうか、性格も穏やかになった。前みたいにいつもより一分遅れただけで苛立つこともなくなったし、家族に八つ当たりすることもなくなった。

もう寿命だろうかとも思うのだが、この人の事だからあと10年は生きそうだ。

元気になったら3人で温泉にいこかと母が言うと父は嬉しそうに何度も頷いた。

1週間後に退院。